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便秘

便秘

◎便は健康のバロメーター

*理想的には”1日1回、朝食後にいきまず排便”ですね。便がからだの中にたまっていたら、体調に悪い影響が及びます。

◎原因

*便が腸の中を進んでいくときに水分が吸収され少なることと強く関係しています。水分の大半は大腸を通過する際に吸収されるので、便は適度な硬さの塊になります。大腸内で水分吸収量が少し増えるだけでも便は硬くなり、便秘になりやすくなります。

◎便秘の種類

(1)機能性便秘:大腸や直腸の働きの異常による便秘で、最も多いタイプです。生活習慣やストレス、加齢などの影響で、大腸などの働きが乱れて便秘になります。

(1-1)弛緩性便秘:大腸を動かす筋肉が緩んで、便がなかなか運ばれなくなります。高齢者や、朝食を摂らない、あるいは運動不足などの生活習慣が一因します。

(1-2)痙攣性便秘:大腸の動きに連続性がなくなり、便の通過に時間がかかるために便秘になります。ストレスの影響が強いことが原因と考えられています。

(1-3)直腸性便秘:便意を習慣的に我慢していると神経の感度が鈍って、便意を催さなくなります。女性が便秘しがちな理由の一つです。

(2)器質性便秘:大腸がんや手術後の癒着、炎症性疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)などのために、大腸の中を便がスムーズに通過できないためにおこる便秘です。

(3)症候性便秘:甲状腺機能低下症や副甲状腺機能亢進症では大腸の動きが弱くなり、便秘がちになります。女性に多い病気です。また、生理や妊娠中にホルモンの影響で便秘になりやすくなります。

(4)薬剤性便秘:抗うつ薬、抗コリン薬(ぜん息や頻尿、パーキンソン病などの薬)、咳止めなどは大腸の動きを抑えるので、副作用で便秘になることがあります。

◎便秘を放置していると、他の病気になる

*痔:肛門を傷つけたり、排便時に出血します。

*脱肛(だっこう)、直腸粘膜脱(だつ):痔核が次第に肛門の外に出てきて脱肛になったり、これが繰り返されると、直腸の粘膜も一緒に肛門外へスライドしてきます。

*糞便塞栓症:便が直腸内にたまって固まり、指や器具などでかき出さなければならない状態です。

*大腸の潰瘍・穿孔(せんこう)、腹膜炎:大腸内に便が滞っていると、潰瘍ができたり、まれには穴があいて(穿孔)、そこからおなかの中に便の細菌が広がり、腹膜炎になることがあります。

*肌が荒れたり、高齢者では認知症のような症状がでたりします。

◎受診が必要な”危険は便秘”もあります

*強い腹痛や吐き気、発熱などを伴う:腸閉塞、大腸の潰瘍・穿孔、クローン病などが考えられます。

*便に血が混ざる:痔の悪化、大腸がん、直腸潰瘍の可能性

*上記の場合は、医師に診てもらいましょう。

◎治療

*治療なるべく作用の穏やかな薬を使いながら、食事や運動に気を付けて、少しずつ自然に排便できるようにしましょう。

*膨張性下剤:便を大きく、やわらかくして、大腸の運動を促します。プランタゴ・オバタという成分の薬です。

*浸潤性下剤(軟化下剤):便中の水分を増やして便を大きく、柔らかくして、排便を容易にします。ジオクチルソディウムスルホサクシネート(DSS)などの成分の薬です。

*塩類下剤、糖類下剤:大腸内の水分を増やして便を柔らかくする下剤です。酸化マグネシウムが使われることが多いです。腎機能が低下している人や高齢者では医師に相談してください。

*刺激性下剤:大腸を刺激して動きを促します。漢方薬もこのタイプです。センノシド、センナ、ダイオウ、アロエ、ビサコジル、ピコフルファートなどの成分の薬です。

*浣腸

◎生活習慣の改善で調子を整えよう

*食事:1日3食、とくに朝食をきちんと食べましょう。例えば、食物繊維が多いバナナ1本と牛乳をジュースにして飲んではいかがでしょうか。

*排便習慣:便意を我慢するのはよくありません。便秘を改善して、健康的な生活をするようになれば、1日1回、朝食後の自然な便意を催すようになってきます。