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血栓症

血栓症

血栓症

◎血栓症とは

*血栓症とは、何らかの原因で血管に血のかたまり(血栓)ができて、それによって血管がつまる病気です。

*正常に血液がとどかなくなった部位や臓器は壊れたり(壊死)、正常な機能が失われます。その部位によってさまざまな特徴的な症状が引き起こされます。

*エコノミークラス症候群(肺塞栓症)、心筋梗塞、脳梗塞などが血栓症によって、引き起こされる病気です。

◎エコノミークラス症候群(肺塞栓症)

*長時間同じ姿勢で脚を動かさないでいると、足の血液の流れが悪くなり、そこに血栓ができてしまうことがあります。その血栓が肺に運ばれて肺の血管につまってしまいます。

*車や電車、デスクワークなどでも起こる可能性があります。手術後や分娩後、寝たきりとなる入院中、災害時の避難所生活などでも発症することがあります。

*主な症状は、突然の呼吸困難、胸の痛み、歩行時の息切れなどがあります。また、ふくらはぎや太ももにはれ、痛み、赤みが現れたり、ふくらはぎがつっぱる感じが生じたり、脚のだるさも現れることがあります。片脚だけに生じることがほとんどです。重症な場合は、意識を失い、命にかかわることもあります。すぐに病院で診てもらいましょう。

*予防には、歩行や足首などの運動、水分補給が有効です。脚の動きを妨げないゆったりとした衣服を着用するといいでしょう。

◎心筋梗塞・脳梗塞

*血栓が心臓の血管につまれば心筋梗塞、脳の血管につまれば脳梗塞になります。

*日本人の死因の第1位は悪性新生物(がん)28.6%ですが、2位は心疾患15.5%、4位は脳血管疾患9.3%です(厚生労働省「平成25年(2013)人口動態統計の年間推計」より)。心筋梗塞などの心疾患と脳梗塞などの脳血管疾患を合わせると1位のがんに次ぐ死因です。

*心筋梗塞の症状は、強い胸の痛み、吐き気、冷や汗、呼吸困難などです。

*脳梗塞の症状は、突然の片側の手足のまひ、顔面の脱力、会話がしにくい、ろれつが回らないなどです。

◎原因

*健康な人の血管の中では血栓はできませんが、血液や血管、血流に異常があると血栓症を発症するおそれがあります。動脈硬化や脂質異常症がもっとも関連しています。

*血栓症と深く関わり合うのが動脈硬化です。そして、この動脈硬化の最も主要な危険因子が脂質異常症(2007年までは高脂血症と言われていました)です。

◎予防の重要性

*食生活や生活習慣の変化により、現代人は高齢者に限らず若年層でも血液成分のバランスが崩れ、コレステロールや中性脂肪値の多いドロドロ血が増えています。このような不健康な血液では、血栓ができやすく、血栓を溶かす“線溶系”の働きも弱まります。つまり、現代人は血栓ができやすく、しかも、できてしまった血栓が溶けにくい体質になっています。

*心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症は、血液中にできた血栓が血管を詰まらせることにより引き起こされる病気です。血栓症は、多くの場合、自覚症状の無いまま突然発症し、発症にともない症状は急速に悪化します。たとえ命を取り留めたとしても、再発の恐れや重大な障害をもたらします。

*ある日突然襲ってくる血栓症に対し、何よりも大切なのが「予防」です。血栓を作らず、できてしまった血栓を溶かす体質になるためには、運動や食事による生活習慣の改善が必要です。

◎予防方法

*正しい食生活や運動、水分補給などで血液と血管、血流を正常に保つことが大事です。

*適度な運動やバランスの良い適量の食事によって、内臓脂肪を減らしましょう。

*運動は、ウォーキング、水泳、ジョギング、サイクリングなど、自分にあった運動を軽く無理のない範囲で1日30分以上、毎日続けるといいでしょう。

*大豆製品や発酵食品を食べることも予防になります。大豆製品に含まれるイソフラボンは血栓症を予防する作用があります。チーズ、ヨーグルト、納豆などの発酵食品もおすすめします。

*血液中のコレステロールや中性脂肪が高い人は、動物性の脂肪や卵類、バターや生クリームを多く使った洋菓子などを控えましょう。イクラやタラコなどの魚の卵も同様です。予防効果のある食品としては、野菜、青魚、納豆などです。