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いびき

いびき

いびき

◎原因

*咽頭(のど)が狭くなって、息を吸うときに狭くなった部分に空気が通過するため、のどが振動して音がでることです。

*特に眠ってしまうと、のどを支えている筋肉がゆるむため、よけいに咽頭が狭くなります。

*もともと日本人は、顎(あご)が小さい人が多く、肥満や飲酒や睡眠薬によっていびきが出現しやすくなります。

*いびきを引き起こす病気としては、咽頭扁桃(アデノイド)が腫れた場合や口蓋垂(のどちんこ)が大きい場合、かぜや鼻炎で鼻が詰まっている状態、鼻中隔彎曲(鼻の骨が曲がった状態)、極端な肥満、睡眠時無呼吸症候群などがあります。

*本人は眠っているので気がつきませんが、一見熟睡しているようでも睡眠が不安定なため睡眠不足に陥っています。現在のところいびきは疾患として認められていませんが、慢性的ないびきは決して望ましい状態とはいえません。

◎対処方法・治療方法

*飲酒した時、あるいはかぜを引いた時だけいびきをかく場合は、おおむね心配ありません。

*しかし、病気が原因となっているときは、慢性的な睡眠不足となり生活に支障をきたすこともあり、いびきの原因となった病気を治す必要があります。特に、症状があったり、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群では日中の過度の眠気のため事故の危険があり、また、高血圧などの生活習慣病の原因や、悪化の原因にもなるので、早めに診断と治療が必要です。

*いびきが軽い場合は、横向きで眠るといびきをかきにくくなります。またいびき防止のマウスピースを装着するといびきが減ることもあります。

*特に小児の場合は咽頭扁桃(アデノイド)が腫れた場合は、のどを狭くしている部分を手術で切り取ることで治します。

*副鼻腔炎(ちくのうしょう)や鼻中隔彎曲症も手術が有効です。アレルギー性鼻炎は吸入薬や飲み薬で鼻づまりを抑えます。これらの治療は、一般に耳鼻咽喉科で行われます。

*肥満が原因の場合は、ダイエットに取り組みましょう。飲酒と肥満は密接に関係していますので、アルコールを控えながらダイエットするとよいでしょう。

*最も問題となる睡眠時無呼吸症候群も、肥満が原因であることが大半です。

◎睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome : SAS)

*睡眠中に無呼吸を繰り返すことで、様々な合併症を起こす病気です。

*成人男性の約3~7%、女性の約2~5%にみられます。男性では40歳~50歳代が半数以上を占める一方で、女性では閉経後に増加します。

*空気の通り道である上気道が狭くなることが原因です。首まわりの脂肪の沈着が多いと上気道は狭くなりやすく、肥満はSASと深く関係しています。扁桃肥大、舌が大きいことや、鼻炎・鼻中隔弯曲といった鼻の病気も原因となります。あごが後退していたり、あごが小さいこともSASの原因となり、肥満でなくてもSASになります。

*症状は、いびき、夜間の頻尿、日中の眠気や起床時の頭痛などです。日中の眠気は、作業効率の低下、居眠り運転事故や労働災害の原因にもなります。

*肥満者では減量することで無呼吸の程度が軽減することが多く、食生活や運動などの生活習慣の改善を心がけることが重要です。アルコールは睡眠の質を悪化させるので、晩酌は控える必要があります。

*成人のSASでは高血圧、脳卒中、心筋梗塞などを引き起こす危険性が約3~4倍高くなります。呼吸器科へ相談するといいでしょう。

◎医療機関への相談

*症状がいびきだけの場合は、咽頭に問題がある場合が多いので耳鼻咽喉科で診てもらうのがよいでしょう。

*原因が極度の肥満や、睡眠時無呼吸症候群であるときは、呼吸器科(呼吸器内科)が適切な場合もあります。

*「いびき外来」や「無呼吸外来」といって、いびきや睡眠時無呼吸を専門に扱っているところもあります。